大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 アルミラージのモモ肉から立ち上る湯気がなんとも薫り高い。
 骨を持ってひと口かじると、表面の香ばしさの後にジューシーな肉汁が広がった。肉は骨から簡単に外れるほどやわらかく、噛むたびに旨味があふれ出す。
 リリアナは無言のままアルミラージのモモ肉を堪能し、あっという間に食べ終えた。
 アルノーはまだ半分も食べていない。
「リリアナちゃん若いなあ。いいよ、腹減ってんなら残りも食べて」
「ありがとう! 遠慮なくいただくわ!」
 残りのモモ肉もペロリと平らげるリリアナを、アルノーは呆れて苦笑しながら見ていた。

 片づけを終えて、洞穴を出た。
 雪は膝下まで積もっているが、空は晴れている。

 探索スキルの高いアルノーが拠点を探してくれるだろう。
 そう思いながらリリアナがコハクに跨ろうとした時、遠くからテオの声が聞こえた。
「リリアナー!!」
 探しに来てくれたんだ!
 リリアナは返事の代わりに手のひらを空に向け、魔法を編んで閃光弾を2発上げる。

 ほどなくして、雪を掻きわけながら走ってくるテオの姿が見えた。
「テオー! こっち、こっち!」
 リリアナが笑顔で手を振ると、テオは一瞬立ち止まり顔をゆがませた。
 そしてさらにスピードを速めてやってきたテオは、リリアナをぎゅうっと抱きしめる。

 テオの顔がとても熱く感じるのは、自分の顔が冷え切っているからだろうか。
「テオ? もしかして泣いてるの?」
「泣いてねーし!」
 リリアナはテオの顔を見ようともがいたものの、さらに強く抱きしめられてしまった。

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