大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
「よかったなあ、リリアナちゃん」
隣にいたアルノーがのんきな声をあげた途端、テオがリリアナを放しアルノーに掴みかかった。
勢いのままふたりが雪に倒れ込む。
「てめえ! わざとリリアナを雪崩に引き込んだだろっ!」
抵抗しないアルノーに向けてテオが振り上げた拳を、リリアナが慌てて止める。
「テオ、やめて。心配してくれたのはありがたいけど、大丈夫だったから。ね?」
怒りをおさめておとなしく立ち上がったテオは、心配そうにリリアナを覗き込む。
「腹減ってないか?」
「アルノーがアルミラージを捕まえてくれたの。美味しく食べたわ」
「そうか。まあいざとなったらコハクを食えばいいしな」
コハクにパンチを食らっても構うことなく、テオがまたリリアナを抱きしめる。
「テオ、ごめんね。せっかくもらった耳当て失くしちゃったの」
「そんなのどうでもいいって。またいくらでも作ってやる」
どうしたんだろう。
テオが妙に甘いわ……。
リリアナがテオの腕の中に閉じ込められたまま困っていると、ようやくハリスが追いついた。リリアナの元気そうな様子にホッとした表情を浮かべ、テオを見て首をすくめて笑っている。
「あんたがこのパーティーのリーダーさんか? 悪いことしたな」
立ち上がったアルノーがハリスに謝罪した。
「昨日の雪崩の原因に関して管理ギルドの調査が始まった。事情を知っていそうな冒険者がいたら連れてくるよう言い使っている。一緒に来てもらえるか」
アルノーに向かってハリスが低い声で静かに告げる。
リリアナはどうにかテオから逃れ、アルノーを見つめた。
「わかってる」
神妙な顔で頷くアルノーにどう言おうか迷った。
もしも調査員に聞かれたら、昨日のアルノーの話を正直に話さなければならないだろう。
しかし彼は、リリアナの無茶な圧力鍋の挑戦を手伝ってくれたし、リリアナに代わって寝ずの番をしてランタンに魔力を流し続けてくれた恩人でもある。
そんなリリアナの迷いを見て取ったのか、アルノーがリリアナを真っすぐ見つめニカッと笑みをこぼす。
「リリアナちゃん、世話になったな。ちゃんと全部白状して潔くペナルティを受けるよ。これからも用心棒たちと仲良く頑張れよ」
昨日は悔しさをにじませながら経緯を語っていたアルノーだったが、いまの彼は清々しい顔をしている。
どういうわけかアルノーを睨んで鼻にしわを寄せていたコハクがスッと表情を戻し、アルノーに返事をするように「ガウッ」と鳴いたのだった。
隣にいたアルノーがのんきな声をあげた途端、テオがリリアナを放しアルノーに掴みかかった。
勢いのままふたりが雪に倒れ込む。
「てめえ! わざとリリアナを雪崩に引き込んだだろっ!」
抵抗しないアルノーに向けてテオが振り上げた拳を、リリアナが慌てて止める。
「テオ、やめて。心配してくれたのはありがたいけど、大丈夫だったから。ね?」
怒りをおさめておとなしく立ち上がったテオは、心配そうにリリアナを覗き込む。
「腹減ってないか?」
「アルノーがアルミラージを捕まえてくれたの。美味しく食べたわ」
「そうか。まあいざとなったらコハクを食えばいいしな」
コハクにパンチを食らっても構うことなく、テオがまたリリアナを抱きしめる。
「テオ、ごめんね。せっかくもらった耳当て失くしちゃったの」
「そんなのどうでもいいって。またいくらでも作ってやる」
どうしたんだろう。
テオが妙に甘いわ……。
リリアナがテオの腕の中に閉じ込められたまま困っていると、ようやくハリスが追いついた。リリアナの元気そうな様子にホッとした表情を浮かべ、テオを見て首をすくめて笑っている。
「あんたがこのパーティーのリーダーさんか? 悪いことしたな」
立ち上がったアルノーがハリスに謝罪した。
「昨日の雪崩の原因に関して管理ギルドの調査が始まった。事情を知っていそうな冒険者がいたら連れてくるよう言い使っている。一緒に来てもらえるか」
アルノーに向かってハリスが低い声で静かに告げる。
リリアナはどうにかテオから逃れ、アルノーを見つめた。
「わかってる」
神妙な顔で頷くアルノーにどう言おうか迷った。
もしも調査員に聞かれたら、昨日のアルノーの話を正直に話さなければならないだろう。
しかし彼は、リリアナの無茶な圧力鍋の挑戦を手伝ってくれたし、リリアナに代わって寝ずの番をしてランタンに魔力を流し続けてくれた恩人でもある。
そんなリリアナの迷いを見て取ったのか、アルノーがリリアナを真っすぐ見つめニカッと笑みをこぼす。
「リリアナちゃん、世話になったな。ちゃんと全部白状して潔くペナルティを受けるよ。これからも用心棒たちと仲良く頑張れよ」
昨日は悔しさをにじませながら経緯を語っていたアルノーだったが、いまの彼は清々しい顔をしている。
どういうわけかアルノーを睨んで鼻にしわを寄せていたコハクがスッと表情を戻し、アルノーに返事をするように「ガウッ」と鳴いたのだった。