大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 ハリスがジャケットを、テオが花柄エプロンをジョセフに貸した。
 靴はないが、地面が苔で覆われていることが幸いし足を怪我することなく歩けそうだ。
 泥の中には毒ガエルが潜んでいる可能性があるため、苔の部分だけを選んで進む。
「いやあ、助かりましたー。ちなみに私の装備が落ちている場所はわかっているんです。霧の体だと掴むこともできなくて、ほんと泣きそうでしたよ」
 その場所まで案内するというジョセフは、人間に戻れて嬉しいのか快活にしゃべり続ける。
 しかし、かろうじて隠すべきところを隠しているものの、彼の出で立ちはまだ十分あやしい。
 リリアナはコハクの背中に乗せてもらい、ぶすっと頬をふくらませてずっと目を背けている。
 
 霧の魔物が寄ってこないように、ハリスはたいまつのように長剣に炎を灯して歩く。
 そのおかげで濃い霧に包まれることなく、順調に目的地まで進んだ。
 
 ジョセフの案内してくれた場所まで行くと、なんとそこにチャーリーたちのパーティーがいた。
 たまたま装備品を発見したようだ。
「ジョセフ!!」
 ジョセフの姿を目にとめたチャーリーが駆け寄ってくる。
「隊長ぉ!」
 ふたりの男はしっかりと抱き合い、再会を喜んだ。
 
「生きてたのか! よかった。そこの装備品を見て、手遅れだったと思ったぞ」
 チャーリーの目に涙が浮かぶ。
 冒険者カード、冒険服、マジックポーチ、装備一式すべてがそこに残されていて、体はきれいに無くなっているのだから、ジョセフが生きている望みが完全に断たれたと思っても不思議ではない。
「テオさんたちに助けてもらったんです」
 ジョセフも涙声だ。
「にしてもおまえ、妙な恰好だなあ!」
「それを言わないでくださいよう」
 ふたりは情けない顔で笑い、それを見ていた仲間たちも同じように笑い泣きしたのだった。

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