大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 その後の管理ギルドの調査で、霧の魔物は新発見であることが判明し「ミスティ」と名付けられた。
 湿地帯エリアでは原因不明の行方不明者が毎年数名いる。その大半がミスティによって霧化させられたに違いないとの結論が出た。
 実際に霧化して人間に戻ることのできた冒険者・ジョセフの証言で、ミスティの実態も明らかになった。
 彼らは火が弱点であるため、火を扱えそうな冒険者を惑わすことはない。だから狙われるのは大きな武器を持ち、魔法が使えなさそうに見える冒険者だ。
 ミスティにとって冒険者を霧化させて仲間に引き込むのは、イタズラ程度の認識しかない。幻影は人によって見える人物が違う。心残りのある人や、最も愛情を抱いている人の幻影を見る場合が多い。
 霧化してしまった場合は火に軽く触れれば元に戻るが、徐々に人間の思考を失うため早く戻らないと完全にミスティになってしまう。

 これらの証言をもとに、湿地帯エリアでは火種を入れたランタンを持ち歩くことが推奨され、拠点には常に火のついたトーチが設置されることとなった。

 ちなみにミスティから採集した白い球体は、直接摂取すると霧化することが判明した。
 これを弱毒化し、見た目が受け入れられない料理にふりかけると美味しそうに見えるようになる「トリックミスト」が商品化されるのは数年後のことで、その発案者がハリスだったことは余談だ。


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