大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 酒場の一角でジョセフを囲み、酒を酌み交わして生還祝いをしているハリスとチャーリーが昔話に花を咲かせている。
 その横でリリアナは特大ハンバーガーにかぶりついていた。
 チラリとハリスを見やると、いい笑顔でエールのグラスを傾けている。
 湿地帯でテオを囲んでいたミスティたちは、ハリスに誰の幻影を見せたんだろうか。あの時の彼の、奥歯を強く噛みしめる緊張した横顔をふと思い出した。
 しかし、それを詮索するのは野暮だろう。

 リリアナが見た幻影がテオだったのは、その直前にテオが行方不明になって気になっていたからに他ならない。決して愛情を抱いているとか、そういうんではない!と、ひとり悶々とし続けているリリアナだ。
 テオがたくさんいたと、あの時言わずによかった。

 リリアナの正面に座るテオがコハクと生ハムの取り合いをしている。
 こんな野生児を好きになんて、なってたまるか。
 思わず睨んでいたようだ。テオが「ん?」と首を傾げ、リリアナを見つめる。
「ねえ、テオは誰の幻影が見えていたの?」
「……リリアナこそ誰だよ」
 テオがぶっきらぼうに聞き返してくる。質問に質問で返すのは反則だ。
「ナイショ」
「じゃあ俺も教えてやらね」
 プイっと横を向いたテオの耳が、心なしか赤いのは気のせいだろうか。

 相変わらずかわいくないんだからっ!
 リリアナは苦笑して、特大ハンバーガーにかぶりついたのだった。

(9皿目・完食)
< 133 / 145 >

この作品をシェア

pagetop