大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
「出て来いよ、オラァッ!」
 テオの大きな声と騒がしい足音に反応して、畝から続々とマンドラゴラが飛び出してきた。

 マンドラゴラは総勢30匹で、どれもみな丸々と大きく成長している。
 その立派なマンドラゴラたちが根っこのように見える触手をムチのようにしならせて一斉にテオに襲い掛かった。

 リリアナたちがひどく驚いていたのは、マンドラゴラの急成長した姿だった。
 畑に乾燥した欠片を撒いてからまだたったの2週間だ。しかもここは安全地帯で魔物は弱体化しているはずなのに、このマンドラゴラたちはかなり好戦的な様子ではないか。
 
 本来ならば、まだ成長しきっておらず動けないマンドラゴラを初心者たちがドキドキしながら引っこ抜くという体験だったはずが、いったいどうしてこうなったのか。
 ハリスが出刃包丁を構え、テオを囲んでいるマンドラゴラに向かって駆け出した。

 唖然としていたリリアナだったが、初心者たちのざわつく声を聞いてハッと我にかえる。
 どうしてか、なんて考えている場合ではない。
 初心者たちがこのマンドラゴラの群れに襲われたら大変なことになる。
 それと同時に「何てことをしてくれたのよっ!」と、ふつふつとテオに対する怒りを沸き上がらせながらマジックポーチからセーフティカードを取り出そうとした。

「にゃっ!!」
 コハクの鋭い鳴き声を聞いて顔を上げたリリアナの視界に、こちらへ近づいてくるマンドラゴラが見えた。テオの斧で薙ぎ払われて飛んできたらしい。
「テオ! 後でお仕置きだからね~~っ!」
 マジックポーチの中から咄嗟に掴んだフライパンを引っ張り出したリリアナは、見事なフルスイングでマンドラゴラをスコーンと打ち返した。

「おおっ!」
 どよめく初心者たちの足元にリリアナはセーフティカードを2枚並べ、この周辺で待つようにと促す。
 しかしこの事態を余興のパフォーマンスだと思っているのか、皆なかなか結界に入ってくれない。
 危険だと脅すのもどうかと迷いながら、試しにレジャーシートを取り出して広げた。

「みなさーん、リリアナさんのご厚意でレジャーシートをご用意しましたので、ここで座って見学していてくださいね」
 エミリーののんびりした声でようやく参加者全員が従ってくれた。
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