大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 リリアナのガーデン冒険者としての滑り出しは上々のように思われた。初心者講習会に参加した後すぐに、複数のパーティーから声をかけられたのだから。
 しかしどのパーティーもリリアナの大食いに怖気づき、さすがにこれは面倒を見切れないと愛想尽かしされて気づけばひとりぼっちになってしまった。
 多少の魔法なら使えるものの、いくらおてんばとはいえ獰猛な魔物と戦うような命知らずな真似はできない。リリアナは、この初心者用のエリアでひたすらブルースライムを倒しては食べ続ける日々を送ることを余儀なくされた。
 このエリアで稼げるポイントはせいぜい1日1000ポイント。
 レオナルドの招待状とポイント交換するための1億ポイントを貯めるには、単純に計算して10万日かかる。
 これ以上は計算しなくてもわかった。これを続けていてもレオナルドをぶん殴る前に寿命で死んでると。
「どうしろって言うのよおぉぉぉっ!」
 飢えをしのぐために味のしないブルースライムを食べながら頭を抱えていた時に声をかけられた。
「もっと美味いもの食わせてやろうか」
 大食いの若い子がいると噂に聞いて、調理士として興味がわいたのだという。
 それがリリアナとハリスの出会いだ。
 
 あれからもう3年も経つのね。
 過去をしみじみ回想しているリリアナを現実に引き戻す遠慮のない声が聞こえた。
「うえー! なんだよこれ、ほんと味しねえな!」
 テオだ。
 大鍋の中身をつまみ食いしたらしい。
「でも水分補給にはなるから、ドロドロの青い水だと思えばまあなんとかいけるわよ」
「ドロドロの時点で水じゃねえだろ」
 テオが珍しくまともなことを言っている。
 リリアナは思わずプッと笑った。
 
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