大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
大食いの呪いのことはすでにテオにも話しているが、食べたものが一体どこへ消えていくのか不思議でたまらないといった表情でリリアナのぺったんこなお腹に視線を送ってくる。
そんなリリアナたち一行が、ガーデンの門を出て歩き始めた時だった。
黒い物が飛んできたと思ったら、テオの左側頭部にゴツン!とクリーンヒットしたのだ。
頭を押さえるテオに代わって足元に転がるその物体を拾い上げたリリアナは、それが黒い兜であることに気付く。
「わあ、すごい。これ黒龍の兜よね?」
「そうだな」
リリアナとハリスはその兜を見て瞠目する。
実物を触るのはふたりとも初めてだ。
ガーデンに隣接する街には冒険者用の装備品を扱う店も多数あるが、黒龍・白竜・炎竜のドラゴンシリーズは最高級品で、その名の通りドラゴンの鱗や皮や爪といった希少価値の高い素材で作る装備品のため、兜だけでも相当な値段だ。
「あ、すみませーん。それ返してもらえます?」
軽い口調でやってきた細目の男が、リリアナの手から黒龍の兜をひょいっと奪うと、体を翻して立ち去ろうとした。
その襟首をテオがむんずと掴む。
「オイ、待てコラァ!」
「な、な、なんでしょうかっ!?」
「なんでしょうかじゃねえし! 人の頭にこんなもんぶつけておいて、それだけかよっ!」
たしかにその通りだとリリアナとハリスも無言のまま頷く。
硬い兜が当たったのだ、いくら頑丈なテオだって相当痛かったに違いない。
それを「あ、すみませーん」だなんて軽い謝罪で済ますのは、どうなのか。
いつもなら喧嘩っ早いテオがトラブルを起こさないよう不穏な空気を察知した時はすぐに止めに入るリリアナだが、今回ばかりはこちらには全く非がないため成り行きを見守ることにした。
そんなリリアナたち一行が、ガーデンの門を出て歩き始めた時だった。
黒い物が飛んできたと思ったら、テオの左側頭部にゴツン!とクリーンヒットしたのだ。
頭を押さえるテオに代わって足元に転がるその物体を拾い上げたリリアナは、それが黒い兜であることに気付く。
「わあ、すごい。これ黒龍の兜よね?」
「そうだな」
リリアナとハリスはその兜を見て瞠目する。
実物を触るのはふたりとも初めてだ。
ガーデンに隣接する街には冒険者用の装備品を扱う店も多数あるが、黒龍・白竜・炎竜のドラゴンシリーズは最高級品で、その名の通りドラゴンの鱗や皮や爪といった希少価値の高い素材で作る装備品のため、兜だけでも相当な値段だ。
「あ、すみませーん。それ返してもらえます?」
軽い口調でやってきた細目の男が、リリアナの手から黒龍の兜をひょいっと奪うと、体を翻して立ち去ろうとした。
その襟首をテオがむんずと掴む。
「オイ、待てコラァ!」
「な、な、なんでしょうかっ!?」
「なんでしょうかじゃねえし! 人の頭にこんなもんぶつけておいて、それだけかよっ!」
たしかにその通りだとリリアナとハリスも無言のまま頷く。
硬い兜が当たったのだ、いくら頑丈なテオだって相当痛かったに違いない。
それを「あ、すみませーん」だなんて軽い謝罪で済ますのは、どうなのか。
いつもなら喧嘩っ早いテオがトラブルを起こさないよう不穏な空気を察知した時はすぐに止めに入るリリアナだが、今回ばかりはこちらには全く非がないため成り行きを見守ることにした。