大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 噂のキャリーお坊ちゃまは、キャリーパーティーをいくつも掛け持ちして毎日50万ポイントを荒稼ぎし、あっという間にプラチナチケットを入手したらしい。
 羽振りのいいお坊ちゃまだとは聞いていたが、まさか王子様だったとは。
 ネリスと一緒にいた屈強そうな冒険者たちは、お金で雇われたキャリーパーティーのメンバーということだろう。
 全身を高級な黒龍シリーズの装備で揃え、さらにはキャリーパーティーを掛け持ちして毎日その見返りとして高額の報酬を支払えるのは、ネリスが潤沢な資産を持つ王子様という立場だからだと納得するリリアナだ。

「そうだ。今日プラチナチケットを使って塔に行ってきた……」
 ネリスの声のトーンが低くなったことを知ってか知らずか、リリアナがはしゃいだ声をあげる。
「それで? レオナルド・ジュリアーニはどんな人だったの?」
 リリアナにとってレオナルドは、大食いの呪いを受けた腹いせに一発ぶん殴ってやらないと気が済まないと思っている憎き魔法使いだ。

 するとネリスは忌々し気に顔をゆがめた。
「……会えなかった」
「え?」
「だから! 会えなかったんだ!」

「留守だったのか?」
 テオがのんびりした声で尋ねると、ネリスは顔を真っ赤にして叫んだ。
「違う! 試練を突破できなかったんだっ!」
 
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