大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 ワカヤシには、体を温め耐寒性をアップさせる効果がある。
 フリッターを10尾食べて体がホカホカになったテオは、どこかへ行ってしまった。

 このエリアは安全地帯(セーフティゾーン)ではない。
 モダヤシの天敵であるシロイタチも生息しているのだ。しかし稚魚の間は氷の下で天敵に襲われることなく成長できる仕組みになっている。
 ワカヤシのフリッターの匂いに誘われたのかゴミ狙いなのかは定かでないが、シロイタチが遠巻きに集まってきた。
 積極的に人間を襲う魔物ではないけれど、牙や爪が鋭いため警戒は怠らないほうがいい。
 そのシロイタチに気づいたテオが、斧を振り回して追いかけていったという訳だ。
 
「あいつはどこへ行ったんだ?」
 ネリスがバケツを持ってきた。
「テオならパトロール中だから気にしなくていいわ、じっとできない性格なのよ」
 バケツにはまたたくさんのワカヤシが入っている。

「ワカヤシのフリッターは、お姫様の口に合ったかな」
 ハリスの問いにネリスは大きく頷いた。
「自分たちで釣り上げたものをその場で食べるのは、格別の美味しさだな。マリールもとても気に入ったようだ」
 まさにそれがガーデン料理の醍醐味だ。

 ナイフはどこかと言うマリールに、ここではそんな上品な食べ方はしないのだとネリスが説明し、フォークを突き刺して噛りついて見せたところ、彼女もおずおずそれを真似て食べたという。
「『美味しい』って笑う顔が可愛すぎて……」
 ネリスが顔を赤くする。
「よかったわね」
「ありがとう、リリアナ。ところで私たちはあと10尾ずつ食べればもう十分なんだが、彼女がもっと釣りたい様子なんだ。残りはリリアナたちに食べてもらっていいだろうか」
「もちろんよっ!」
 リリアナが前のめりで答える。
「じゃんじゃん持ってきてちょうだい!」

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