大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
閑話 テオの留守番とキングマンドラゴラ
「ちっくしょう! ぬあぁにが修行だ、ただの家事じゃねーかっ!」
 テオはリリアナから受け取った便箋をテーブルにたたきつけた。
 そこには、少しクセのある丸っこい文字で【テオの修行メニュー】という見出しが書かれ、その下には留守番中にやる家事の一覧が記されている。

 食事を自分で作ることに関しては、まあいい。実際、留守番中は料理に挑戦しようと思っていたところだ。
 しかし庭の草むしりや建付けの悪いドアの修理、床磨き、水回りの掃除を押し付けられたのには納得いかない。
 おまけにやり方もわからない。

 ガーデンでは身分や出自は一切関係なく、テオはそういったものをひけらかす性格でもない。
 しかし実のところテオはウォーリアの里の首長の息子で、それなりにいい暮らしをさせてもらっていた。つまり、家事はまったくの未経験者なのだ。
「こんなのやってられっか!」
 便箋を破こうとしたところでふと、砥石をもらう約束をしたことを思い出した。
 ハリス愛用の武器であり調理道具でもある出刃包丁は、恐ろしいまでに切れ味がいい。その秘密は砥石にあると踏んでいる。

 あの砥石で自分の斧を研いでみたい。
「ん~~っ!」
 ひとしきり頭を掻きむしって悩んだ末に、リリアナが残した修行メニューをこなす決意をした。
「こんなの1日で終わらせてやるぜ!」
 テオはこぶしを握り締めた。

 庭の草むしりは順調にこなした。
 しっかり根付いた雑草を引っこ抜くのはなかなかいい修行になると思ったぐらいだ。
 ほどよい汗をかいた後、昼食作りにとりかかったところまでは順調だったのだが……。

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