大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 夕食の分もと欲張ってマンドラゴラ料理をたらふく食べたテオは、大満足でジョージを家に連れ帰った。
「料理はもういいから掃除を手伝ってくれ」
 リリアナのメモを渡すと、ジョージはそれにサッと目を通して頷いた。
「ええっと、エプロンはありますか?」
「エプロン? 必要か?」
 確かにリリアナはこの家で家事をする時にいつもエプロンを着用しているが、テオは着けなくても構わない。

「家事をする時の装備みたいなものです。エプロンを着けることで『さあ、やるぞ』って気合を入れるんですよ」
「そ、そうなのか」
 急に雰囲気の変わったジョージに少々たじろぎながら、キッチンの棚に畳んで置いてあったエプロンを掴んでジョージに手渡す。
「テオさんも着けるんですよ!」
「ええっ!?」
 なぜだろう、エプロン着用でさらにジョージに妙なスイッチが入ってしまったらしい。
 ジョージに家事を頼んだのは自分だ。ちょっと思っていたのと違うとも言いにくく、指示されるままにもう一枚の花柄のエプロンを着ける。

 キングマンドラゴラを前にライフルを持つ手を震わせていたジョージは、家事となると人が変わったようにハキハキ、キビキビしている。
 こいつ、冒険者向いてねえな。
「テオさん、手を止めない! しっかり雑巾がけしてください!」
「はい!」

 こうしてジョージの厳しい指導の下、テオは拙いながらも一通りの家事をこなせるようになった。
 数日後、予定よりも早く帰ってきたリリアナにエプロン姿を見られたのは誤算だったが、リリアナの元気な声を聞いてほんの少し胸が高鳴ったことは絶対に秘密だ。

(閑話・了)
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