大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
「さあ、お遊びはおしまいだ。俺が殻を開けるからふたりとも潜って貝を獲ってくればいいだろ」
 戻ってきたコハクを拭きながらハリスが提案した。
 テオが再び海に向かって駆けだしていく。
 リリアナもその後を追った。
 密かに、テオより宝石貝をたくさん獲ってやる!という闘志を燃やしながら。

 今度こそ負けてなるものかとカッとなっていたリリアナは、テオよりもさらに沖に進んだところに宝石貝がたくさんいるポイントを見つけた。
 息が続くかぎり潜り続けて、夢中で宝石貝を網に入れていく。
 網がいっぱいになったところで一旦戻った。

「大漁だな」
 網に40個近い貝がぎっしり詰まっている様子を見てハリスが目を丸くしている。
 それを木桶にあけると、また網を持ってリリアナが駆け出した。
 依頼の個数はすでにこれで満たしているけれど、もっと獲りたい。

 テオはまだ潜っているのか姿が見えない。しかしもう知ったこっちゃない。
 あれだけ泳げるようになったんだから、溺れたりしないでしょ。
 リリアナはそう思いながら、また先程のポイントへと泳ぎ始めた。

 ガーデンの海は透明度が高く、海中に潜っていてもかなり広範囲を見渡すことができる。
 宝石貝がたくさんいる場所へ向かっていたリリアナは、テオがその場所にいることに気付いた。
 そこは、わたしが見つけたポイントよっ!
 リリアナはイラっとする。
 そんなリリアナに気付いたテオが、大きく手を振った。
 テオの動作にさらに苛立ちを増したリリアナは、スピードを速めて勢いよく海底めがけて潜る。

 その時だった。
 海底がぐにゃりと歪んだように見えた。
 えっ!?
 驚いて動きを止めたリリアナの目の前に、突然海が裂けるように大きな黒い穴が出現する。
 そして海水とともに、リリアナはその穴に吸い込まれたのだった。

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