愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
智光さんが私の頬に触れる。
乱れた髪をそっと梳いた。
触れる指先の感触を敏感に感じ、体の奥が痺れる。
近づく唇にそっと目を閉じた。
直後に触れる柔らかな唇。
先ほどのキスとは違ってとんでもなく甘くて優しい。濃厚で魅惑的なキスはいとも簡単に私の体から力を奪っていく。思考を止める。
唾液が絡み合って糸を引く、まるで蜘蛛の糸に絡まって食べられる蝶のよう。だけど怖さなんて微塵もない。私のことを食べてほしい。
「……なんて顔してるんだ。キスだけじゃ物足りなくなるだろう?」
眉根を寄せた智光さんが熱を孕んだ甘い視線で私を見る。
智光さんの方こそ、そんな色っぽい表情を見たことがない。
「……ものたりない、です」
正直に言えば、智光さんが息をのむのがわかった。
「どうしてそう、可愛いことを言う……」
可愛くはないと思うけれど……。
でも智光さんにそう思われるなら本望だ。
何度も繰り返されるキス。
智光さんに溺れる私は自ら智光さんを手繰り寄せる。けれど甘く優しくなぞられる口内に翻弄された私は、身も心もとろとろにされて蕩けてどんどん力が抜けていく。まるでアイスクリームが溶けるようにゆっくりとベッドに沈み込んで――。
甘くて濃厚な口づけをしながら、智光さんの手が私のパジャマのボタンを外し始めた。流れるような手の動きはやがて私の敏感な部分に触れる。
じわっと電気が走ったみたいに体が反応した。
「ふあっ」
思わず漏れ出た声さえも食べてしまうように、繰り返されるキス。
恥ずかしいのに嬉しい。
智光さんが私を求めてくれているみたい。
「あっ……」
はだけた胸に智光さんはじゅっと紅い印を残した。
「と、智光さんも……」
私は智光さんのパジャマに手を伸ばす。智光さんの肌に触れたい、そう思った。