愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
今朝あんなことがあっただなんて微塵も感じられないほどに、私と智光さんはあっさりと帰宅した。

「しばらく忙しくなると思う。家事をやえに任せてしまってすまない」

「いえ、大丈夫です。夕食はどうしますか?」

「それは食べる。やえと一緒に」

「わかりました」

言うや否や、智光さんは書斎にこもってしまった。
元々智光さんは遅くまで会社で仕事をしている人で、ここ最近は私に合わせて送り迎えをしてくれている。だから仕事を残したり持ち帰ったりと、きっといろいろと無理をしてくれているに違いなかった。

なんだかとても申し訳ない。
私だったらもう一人で帰れるのに……と一度提案してみたけれど、即却下されてしまった。「やえのことが心配なんだ」と真剣なまなざしで言われてしまうと、コクンと頷くことしかできなくて。

「……でも絶対に智光さんに迷惑をかけているよね」

しんと静まり返っている書斎の前でポツリと呟く。私にできることは何だろうか。

とりあえず智光さんが倒れてしまわないように栄養バランスの良い食事を作ったり、智光さんの負担にならないように家事をしたりするくらいだろうか。それくらいしか貢献できないけど……。
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