愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
「知ってるか、やえ」
「何ですか?」
「朝エッチするのは健康に良いらしい」
「えっ? ちょ、ええっ、あっ、待って……や、んんっ」
貪り食うようにキスをすれば、やえの息は乱れていき甘い吐息に変わった。
可愛くてどうしようもなく愛おしくて、パジャマの裾から手を滑り込ませる。
「あんっ、あっ、……と、ともみつさ……んっ」
甘いスイーツのような声を聞いているだけで俺も昂ぶるというか、狂おしいくらいに抱きたくて、とにかくもう何も考えられないくらいに幸せな気持ちになる。
やえのパジャマを丁寧に剥ぎ取って白い肌が露わになった。綺麗でいつまででも見ていたいほど。
くっと俺のパジャマを握るやえに視線を向ければ潤んだ瞳が訴える。
「智光さんも、脱いで」
たぶん俺は無意識にボタンに手をかけるのを躊躇っている。いつもやえが先に俺のパジャマのボタンに手をかけて外してくれるからだ。
「智光さんのアザ、増やしてもいいですか?」
「増やす? どうやって?」
「こうやって」
まさか殴られるのかなんて頭を過ったけれど、思いもよらず押し倒されて俺は度肝を抜かれた。
「あっ、ちょっと、やえっ」
脇に近い、肌の弱い部分にパクッと食いつくやえ。ちゅうちゅうと吸い上げられて訳がわからなくなった。
「……えへへ、キスマークです」
ぷはっと顔を上げたやえがニッコリと微笑む。
くそう、どこで覚えたんだそんな可愛いことを。
「……俺もする」
「あっ、きゃあっ」
今度は形勢逆転、俺がやえを押し倒し首筋に顔を埋めた。
「あっ、そこはダメっ、見えちゃうからっ」
そんなことはわかっているけれど、やだやだと抵抗するやえが可愛くて首に軽くキスをして揶揄う。
「智光さん~!」
「じゃあどこならいい?」
聞けば、眉を下げて困った顔になる。
なんだその顔は。ダメだ、やえのすべてが可愛い。
「……じゃあ、智光さんと同じところ」
恥ずかしがりながらボソリと呟く。
ちゅうっと吸えば甘い悲鳴がこぼれた。
やえの白い肌が紅く染まる。
「ふふっ、智光さんとお揃いです」
嬉しそうに顔を綻ばせるやえは俺の胸に手を伸ばした。
やえの手は柔らかくてあたたかい。
いつも慈しむようにアザを撫でてくれる。
それがどれほど俺の心を溶かしてくれているか、知らないだろう?
傷が癒えるってこういうことなのかと、肌で感じる。胸が熱くなる。まるで女神のようだ。
ああ、そうだった。
彼女のまわりはいつもあたたかくて穏やかで、心安らげる空間が広がっていたんだった。そんな君に特別に愛される人は、さぞかし幸せなのだろうと羨ましく思っていたんだ。
「やえ、愛している」
「私もです。智光さん、愛しています」
ああ、本当に。
俺は君に愛されて、とてもとても幸せだ。
俺もやえが幸せだと思えるように、これからもずっとずっと愛していくと誓うよ。
触れ合う肌が交じり合い熱を持つ。
愛情を確かめ合いながら甘い蜜に溺れる俺は、狂おしいほどにやえを求める。
どうしようもなく膨れ上がる気持ちは、尽きることのない彼女への愛で満たされていた。
【END】