愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
今日の夕飯は生姜焼きにお味噌汁、サラダ。
三人分準備してから、私はダイニングから逃げるように洗濯物を取り込みに外に出た。
叔父さん叔母さんが食べている間、そこに私の居場所はないからだ。
洗濯物を畳みながら、うっすらと聞こえてくる会話に心を無にする。聞きたくないのに聞こえてくる。むしろ聞こえるように言っているのかもしれない。
「生姜焼きかよ。俺あんまり好きじゃないんだよね」
「なんか薄味ね。いつまで経っても上達しないわ、あの子」
お兄さんと叔母さんが夕飯にケチをつける。叔父さんの声は聞こえないけれど、きっと同意しているのだろう。
心がモヤモヤと黒く染まっていく気がする。
ちゃんと小麦粉をまぶしてお肉が柔らかくなるようにした。
タレもレシピどおりに作って絡めた。
お味噌汁はこうじ味噌にした。
栄養バランスも考えてサラダも添えた。
それなのに文句ばかり。
毎日毎日、これ見よがしに紡がれる会話に辟易する。
ああ、嫌だ。
早く明日になってほしい。
私は洗濯物を床に投げつける。
軽い布たちはさして音を立てることもなく、ふぁさっと床に落ちていった。
少しもストレス発散にはならなかった。