愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
「……幸山さん?」
幸山さんの大きな瞳が瞬きをする。するとまたはらりと大きな雫が落ちていく。
「何があった?」
聞かずにはいられなかった。
幸山さんをこんなに追い詰めているものは何なのか。それがもし仕事に関わることなら責任者としてきちんと解決していかなくてはいけない。
いや、例え仕事に関係なくプライベートなことで悩んでいるのであっても、助けてやりたい、何か力になりたいと思った。
幸山さんは俺にとって特別な存在だからだ――。
「うっ……ううっ……」
ときどき嗚咽がもれるだけで、幸山さんは何も話してはくれない。
こんな時どうするべきなのか、気の利かない俺には何も思いつかない。
そっと背中を撫でた。
ピクリと小さく揺れる肩。
彼女はこんなにも小さかっただろうか。仕事中はもっと存在感があってみんなに笑いかけていて。誰もが「やえちゃん」と親しげに呼ぶ。
それなのに、今日の君はなんて小さくてか弱い存在なのだろう。
心配で心配で仕方がない。