愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】


久賀産業は代々続く老舗の町工場で、小さいながらにも利益を上げ続けている優良企業として地域に根づいている。

その経営者の息子として生まれた俺は、周囲の期待とプレッシャーに常に悩まされてきた。

いくら代々続くからと、こんな小さな会社を俺が引き継がないといけないのか、そんなの理不尽だとそう感じていたため、半ば抵抗するように自分の好きな道に進んだ。

大学では航空工学を学び、将来は飛行機やロケットの設計をする仕事をしたいと思っていた。そのことについて先代社長の父親は何も反対しなかったし、それどころか久賀産業を継いでほしいなどとは一言も言わなかった。

おかげで俺は希望する大手企業に就職を果たし、幸運なことにもやりたい仕事に就くことができた。サラリーマンとなった俺に「町工場の社長の息子」という肩書はどこにもなくなった。

これで自由を手に入れたと思った。
プライベートでは順風満帆に恋人もできて幸せだった。
未来は明るい。
そう思っていた。

けれど、突然父親が倒れた。
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