愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
✳✳✳

私は夢を見た。
それが夢だとわかったのは目を覚ましてからだけど。

昔住んでいた家にお父さんとお母さんがいて、ただ皆で一緒に夕食を食べているだけ。

お父さんもお母さんも笑っててそれを見るだけで私も笑顔になれて今日も一日楽しかったなって、そんな気持ちでベッドに入った。

ふかふかのお布団はとっても気持ちよくて顔を埋めるとおひさまの匂いがしたんだ――。


ぼんやりとした視界がだんだんクリアになっていく。真っ白なそれが天井だと理解した瞬間、一気に脳が目覚め、私は勢いよく起き上がった。

やばい、寝過ごした。
叔母さんに怒られる。

ベッドから飛び降りたところで、左腕がグイっと引っ張られ鋭い痛みが走った。

「いたっ！」

思わず左腕を押さえると、指の間から真っ赤な血が流れてくる。

「え……、血……？」

状況がのみ込めなく私はキョロキョロとまわりを見渡す。

真っ白な天井、真っ白な壁、大きな窓には薄いレースのカーテンがかかっている。広い室内にはベッドの他にテレビ、そしてソファー。

「……どこ？」

急に何かがよみがえってくるような感覚に身を震わす。

そうだ、叔父さん叔母さんにお金を使い込まれてお兄さんに襲われかけて、あの家から飛び出したんだった。

それから……。
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