愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
「だから俺と結婚しよう」
「あ……は……えっ?!」
思わず、はい、と頷きそうになったけれど、寸でのところで思いとどまる。
え……今、なんて言った?
結婚って聞こえたような……?
「ごめんなさい、今なんて言いましたか?」
聞き返すも、
「結婚しようと言った」
と即答されて私の時は止まった。
結婚?
結婚って、……結婚だよね?
「け、結婚?!」
「そうだ」
きっぱりと返事をされてしまうので、どうやら聞き間違いじゃなかったようだ。
いや、でも、なんでそうなるのか理解が追いつかない。
何か言おうにも驚きのあまり言葉が出てこず、たぶん私は今とてもまぬけな顔をしていると思う。
「金魚みたいになってるぞ」
「や、だって……!」
口をパクパクさせるだけで何も言えない私はまさに金魚だ。
「そんな……突然結婚だなんて……」
しかもずっと慕っていた社長と。
いや、ありえない。
そうだ、これは夢だ。
私はまだ夢の続きを見ているに違いない。
……だったら夢から覚めたくないけれど。
「嫌か?」
「嫌ではないですけど……、だってそんなことありえないって思って」
だって、結婚って……結婚って……、夫婦になることだよね?
私と社長が?
嘘でしょう?
結婚って好きな人同士がするものだよね?
そりゃ私は社長のことが好きだけど、でもそれとこれは違うものだと思うし。