愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
5.婚姻届
特命作業があると呼ばれた社長室で、敦子さんはこれでもかと目を丸くして驚いた。
「なあに、あなたたち、いつの間に?」
「えっと……」
言葉に詰まるも智光さんは涼しい顔で言い放つ。
「実は僕がずっと好きだったので、猛アタックしてようやく首を縦に振ってもらえました」
「んまっ! イケメン!」
敦子さんは智光さんを囃し立てる。
本当は違うんです、智光さんは慈悲で私と結婚してくれるんです……と喉元まで出かかったけれどさすがに言えるわけもなく、曖昧に笑ってごまかした。
「社長ったらずっとやえちゃんのこと大事にしていたものねぇ」
「そうですね。敦子さんにはお見通しでしたか」
「何言ってんの。皆わかってるわよぉ」
敦子さんはカラカラと笑いながらバシンと智光さんの腕を叩く。
「敦子さんには敵いませんね」
智光さんも朗らかに返事をしているけれど、なんだか私だけが話についていけていない。
「あらやだ、やえちゃんったら何て顔してるの」
「だ、だって……」
「もしかして気づいてなかったクチ?」
気づいていなかったとは何のことだろう?
智光さんが私のことを大事にしていたって話?
それだったら敦子さんの勘違いだ。確かに智光さんは大事にしてくれるけれど、それは私だけじゃなくて全社員に言えることだもの。智光さんは皆に優しいの。社員想いなの。
「なあに、あなたたち、いつの間に?」
「えっと……」
言葉に詰まるも智光さんは涼しい顔で言い放つ。
「実は僕がずっと好きだったので、猛アタックしてようやく首を縦に振ってもらえました」
「んまっ! イケメン!」
敦子さんは智光さんを囃し立てる。
本当は違うんです、智光さんは慈悲で私と結婚してくれるんです……と喉元まで出かかったけれどさすがに言えるわけもなく、曖昧に笑ってごまかした。
「社長ったらずっとやえちゃんのこと大事にしていたものねぇ」
「そうですね。敦子さんにはお見通しでしたか」
「何言ってんの。皆わかってるわよぉ」
敦子さんはカラカラと笑いながらバシンと智光さんの腕を叩く。
「敦子さんには敵いませんね」
智光さんも朗らかに返事をしているけれど、なんだか私だけが話についていけていない。
「あらやだ、やえちゃんったら何て顔してるの」
「だ、だって……」
「もしかして気づいてなかったクチ?」
気づいていなかったとは何のことだろう?
智光さんが私のことを大事にしていたって話?
それだったら敦子さんの勘違いだ。確かに智光さんは大事にしてくれるけれど、それは私だけじゃなくて全社員に言えることだもの。智光さんは皆に優しいの。社員想いなの。