愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】
「スーパーに寄ってもいいですか?」
「ああ、もちろん」
智光さんは帰り道にあるスーパーに車を寄せた。
叔父さん叔母さんの家とは反対方向にあるスーパーだ。鉢合わせしないようにと、そんなところまで気を遣ってくれる。
「智光さん、嫌いなものありますか?」
「そうだな……。基本なんでも食べるけど、あえて言うならセロリが苦手だ」
「セロリですか。私は食べたことないかも。どんなだろう?」
叔父さん叔母さんのために食事を作っていたけれど、レパートリーは決して多いとは言えない。
そんな私が智光さんに夕食を作ろうとしている。そういえば夕食を作っていいか許可も取っていなかったことに気づき慌てた。
「今さらなんですけど、帰ったら夕食作ってもいいですか? えっと、あんまり料理上手くないですけど」
「断る理由などないが……。別に俺にいちいち許可を取らなくても、やえの好きにしたらいい」
「あ、じゃあ智光さんの好きな食べ物は何ですか?」
ふむ、と智光さんはしばし考える。
もしかしたら食にあまり興味がないのかなと思ったけれど。
「やえの作ったものなら何でも好きになれそうな気がする」
と真面目な顔で言われ、心臓がドックンと跳ねた。
そんなことを言われたらプレッシャーというか、でも頑張って美味しいお料理を作るぞって、力もわいてくるっていうか。
「……せ、セロリでも?」
「当然だ」
これまた大真面目な返事をする智光さんに胸のときめきが抑えられそうにない。