愛されていると勘違いしそうなのでこれ以上優しくしないでください【コミカライズ原作】

「やえちゃん、もう心配しなくていいのよ。お父さんと智光に任せておきなさい。こう見えて人脈だけは広いから、役に立つはずよ」

「奥様……」

「あら、もう結婚するんだから、おかあさんって呼んでほしいわ。だめかしら?」

茶目っ気たっぷりに言う奥様はとても優しくて、私はフルフルと首を横に振る。
だめなわけない。ありがたくて仕方がない。

「よろしくお願いします。おかあさん」

おかあさんは私の隣に座り優しくぎゅうっと抱きしめる。それを見た会長が「わしも」と手を伸ばしたのをおかあさんにピシャリとはたかれ、そんなご両親のやり取りを見ていた智光さんは少し困ったような顔をしていた。

優しくてあったかい母のぬくもりに触れて胸が熱くなる。

「何かあったらすぐに頼ってきなさい。何もなくても来てくれて構わないのよ」

「ありがとうございます。嬉しいです」

受け入れてくれる家族が出来たことに心の底から喜びがわきあがる。あったかい、こんな気持ちになることができるなんて感謝しかない。

胸がいっぱいでいっぱいで、さらに視界が揺らいだ。
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