優しく、ぎゅっと抱きしめて
知賀くんを目の前にすると、どうしても緊張しちゃって…。
言おうとしていたことも吹っ飛んでしまうくらい、知賀くんに全意識が集中するの。
……そう言えたらどんなに楽だろうか。
「…そろそろ昼休み終わるな」
「えっ、もうそんな時間?」
私も時計を見ると、予鈴が鳴るまであと5分程度だった。
「教室戻るか」
「そうだね」
知賀くんの後に続いて、私も移動する。
結局聞けなかったし、多分プリンは美來のものになっちゃうけど…。
「…起こしてくれてサンキュ。月森が来なかったら、多分あのまま爆睡してた」
「っ…」
知賀くんの貴重な笑顔を見れたから、そんなのはもうどうでもいいや。
今目の前にいる知賀くんとの時間が、大切だって思うから。