優しく、ぎゅっと抱きしめて
その理由は簡単。
「バレンタインにチョコ渡すとか、告白以外の何物でもないよね…?」
今日が2月14日のバレンタインデーだからだ。
「そりゃあまぁ…面と向かって渡されたらそう思うんじゃない」
「〜〜っやっぱりやめる!私にはまだ早かった…!!」
美來の返答を聞いてくるりと方向転換。
「待たせてごめんね、美來。諦めます」
「……ほんとにいいの?」
スマホから視線を上げて、確認するように聞いてくる美來。
「うん…大丈夫」
「そう…じゃあ帰ろ」
ゆっくり頷くと、それ以上は聞いてこようとせず、下駄箱方面へと歩き出した。
ここまで待ってくれていたのに、最後は文句も言わないで私の意見を尊重してくれる。
中学の頃からの付き合いだけど、そういうところ大好き。