優しく、ぎゅっと抱きしめて

「〜っ!!」



私に聞こえないと思っているのか、そのまま話を続ける2人。



私はその一方で、固まる足をなんとか動かし「何も聞こえてません」という顔を作るのに必死だった。



え……?い、今のって………。



今度こそ私の聞き間違いじゃない。



辻くんの核心を突くような真剣な声。



今まで見たことないくらい真っ赤に染った知賀くんの顔。



「っ…」



もう、平然としていられない。



心臓はドキドキしすぎて破裂してしまうんじゃないかと心配になるほど脈を打って。



頭の中が知賀くんで埋め尽くされていく。



これがもし全部私の勘違いだったとしたら、相当恥ずかしいやつだけど…。



これで勘違いするなって言う方が無理あるよね?

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