優しく、ぎゅっと抱きしめて
「なら、俺はおじゃま虫だったな。悪かったよ」
「おい、ちょっと待て…!」
知賀くんは自分の席に着こうとすると辻くんの腕を引っ張り引き止める。
そしてそのまま私の方にグルリと首を回した。
「ごめん、月森」
「ひゃい…!?」
あまりにも急だったからかなり噛んでしまって、さっきとは違う意味で恥ずかしくなる。
「ひゃい」ってなに……!?
後で反省しなくては…と思いながら、意識を知賀くんに全集中させる。
「やっぱり、辻も誘っていいか」
「へ……?」
上げて落とすとはまさにこの事。
さっきまでのテンションはどこへやら。
「…辻も、かなり危ないらしいんだ。だから…」
そんなこと一言も言ってなかった気がするけど…?