優しく、ぎゅっと抱きしめて
珍しく口ごもる知賀くんの後ろで、目を点にしている辻くん。
私も数秒間思考停止した後、ゆっくりと頷いた。
「もちろん大丈夫だよ」
気がついたらそう言っていた。
「あぁ…ほんとに悪い。ありがとう」
また前を向いた知賀くんを確認して、小さなため息をこぼす。
今、ちゃんと笑えてたかな。
自分の頬を触って、むにむにマッサージ。
…うん、大丈夫。
こんなことでへこたれてたらダメだよね。
知賀くんが何を考えているのか、まだ全然わからないけど。
ちょっとだけ期待しちゃう私を、どうか許して。