優しく、ぎゅっと抱きしめて
「……?」
なんのことかわからなくて首を捻ると、辻くんは「まぁとにかく」と私と知賀くんを指さした。
「俺、ただの邪魔ものじゃね?ってゆー話」
「辻、人に指を指すな」
「今それ言う?」
うーん…たしかに、それはちょっと否めない。
元々2人きりがよかった私としては、ほんの少し…結構不満だ。
でも、もしこの場から辻くんがいなくなったらどうなってしまうのか…。
そう考えたとき、答えはひとつ。
気まずくなるとしか言いようがない。
隣に座る知賀くんとの距離は、いつもの倍以上に近い。
教わるとなるとどうしても近づかないといけなくなるため、自然と距離が縮まる。
さらにここは知賀くんの部屋。
そこに知賀くんと私だけ…そんな状況で勉強なんて、できるはずがない。