優しく、ぎゅっと抱きしめて
仮にも知賀くんは勉強を教えてくれるために呼んでくれたのに、失礼なことしちゃった。
「まぁまぁ、そう怒らずに」
「辻はもっと反省しろ」
「なんで俺だけ!?」
うん…辻くんは相変わらず。
さっきまでの良さげな雰囲気はどこへ行ったのだろうか。
「……はぁ。いいから続きやるぞ」
「よ、よろしくお願いします…!」
そうして再開した勉強。
でも、ここでまた辻くんが「ねぇねぇ」と私の手をツンツンしてきた。
「俺が月森ちゃんの隣に行っちゃダメなの?」
「へ……?」
「………」
辻くんの言い分に拍子抜けする私と、何も言わない知賀くん。
「なんか最初からこの位置で飽きたんだよね」
そんなバカな…と思ったけど、本気か冗談なのかわからない。