優しく、ぎゅっと抱きしめて



仮にも知賀くんは勉強を教えてくれるために呼んでくれたのに、失礼なことしちゃった。



「まぁまぁ、そう怒らずに」



「辻はもっと反省しろ」



「なんで俺だけ!?」



うん…辻くんは相変わらず。



さっきまでの良さげな雰囲気はどこへ行ったのだろうか。



「……はぁ。いいから続きやるぞ」



「よ、よろしくお願いします…!」



そうして再開した勉強。



でも、ここでまた辻くんが「ねぇねぇ」と私の手をツンツンしてきた。



「俺が月森ちゃんの隣に行っちゃダメなの?」



「へ……?」



「………」



辻くんの言い分に拍子抜けする私と、何も言わない知賀くん。



「なんか最初からこの位置で飽きたんだよね」



そんなバカな…と思ったけど、本気か冗談なのかわからない。
< 37 / 61 >

この作品をシェア

pagetop