優しく、ぎゅっと抱きしめて
「それに……」
気がついたら私の真隣に辻くんがいて、肩を抱かれていた。
「俺も月森ちゃんとくっつきたいし」
私の耳元の近くで響く声。
知賀くんに向かって言っているような気がしているのは、私の気のせい…?
「つ、辻く…──きゃっ…?!」
辻くんの言っていることがわからなくて聞こうとしたら、今度は反対側に居る知賀くんにグイッと引っ張られて。
「お前に月森はやらない」
今まで聞いた事のないような、威圧感のある低い声が真上から聞こえた。
「っ…!!」
寝ぼけて抱きしめられた時よりも力強く、ぎゅっと抱きしめらる。
まるで離さないと言われているみたいで、私の頬はみるみるうちに熱くなっていくのを感じる。
「…そう。じゃ、俺は帰るわ。じゃーね、月森ちゃん」