優しく、ぎゅっと抱きしめて

「それに……」



気がついたら私の真隣に辻くんがいて、肩を抱かれていた。



「俺も月森ちゃんとくっつきたいし」



私の耳元の近くで響く声。



知賀くんに向かって言っているような気がしているのは、私の気のせい…?



「つ、辻く…──きゃっ…?!」



辻くんの言っていることがわからなくて聞こうとしたら、今度は反対側に居る知賀くんにグイッと引っ張られて。



「お前に月森はやらない」



今まで聞いた事のないような、威圧感のある低い声が真上から聞こえた。



「っ…!!」



寝ぼけて抱きしめられた時よりも力強く、ぎゅっと抱きしめらる。



まるで離さないと言われているみたいで、私の頬はみるみるうちに熱くなっていくのを感じる。



「…そう。じゃ、俺は帰るわ。じゃーね、月森ちゃん」

< 38 / 61 >

この作品をシェア

pagetop