優しく、ぎゅっと抱きしめて

さすがにベタすぎる…と思ったけど。



頑張って作ったチョコレートをひとり悲しく食べている自分を想像したら、持って帰ることさえ躊躇われた。



名前だって書いてないしバレないはず…と、後先考えずに行動した結果…。



***



「うちの高校の下駄箱が汚いのわかってる上でそうしたのは、なにか理由があるのか?」



バレた挙句に怒られています。



チョコレート渡しただけで怒られるってなにゆえ…?



淡々と喋る知賀くんを前にして、そんなことは言えるはずもなく。



「ごめんなさい……!」



とりあえず平謝りするしか選択はなかった。



「ぶ、部活中だったから下駄箱にでも……と思いまして…」



嘘です。



直接渡すことに怖気付いて下駄箱に入れただけですごめんなさい…!

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