優しく、ぎゅっと抱きしめて
「…月森」
「は、はいっ…?」
声をかけられるとわかっていてもなお噛んでしまう自分が嫌になる。
「この後の予定は空いてるか」
「あ、空いてる…けど」
「…行きたいとこがある。できれば一緒に来て欲しい」
少し視線を逸らして、ほんのり染まった赤色の頬が私の胸に突き刺さった。
「…っ、うん。もちろんいいよ」
断る理由もなかったし、知賀くんから言い出してくれたのが嬉しくて。
たぶん今の私の顔はかなり緩みきっている。
「えっと…じゃ、じゃあね2人とも」
「うん、行ってらっしゃい」
「気をつけるのよ」
荷物を持って未來と辻くんに手を振ると、2人は笑顔で見送ってくれた。
「行くか」
「うんっ」