優しく、ぎゅっと抱きしめて
知賀くんの横に並んで歩き出す。
でも…そこからが色々大変だった。
まず、知賀くんと2人で歩くと生徒たちの視線が痛いくらいビシビシ刺さる。
特に女子から。
「か、肩身が狭い…」
「…?月森…?」
「あ、ごめんね。大丈夫」
なんとか校門を抜けると、ちょっとだけ息が吸える感覚がした。
「そういえば、知賀くんが行きたいところって?」
さっきから何となく気になっていたことを聞いてみたら、知賀くんの頬がピクっと引きつった。
あれ…?何かまずいこと聞いちゃったかな…?
「近くにできた大型ショッピングモール…なんだけど」
不安になったけど、知賀くんの返答は至って普通のもので。
「へぇ…!楽しそう!」
「あぁ、いろんな店回りたいんだ」
「うんうん!いっぱい寄ろ!」