優しく、ぎゅっと抱きしめて

知賀くんの横に並んで歩き出す。



でも…そこからが色々大変だった。



まず、知賀くんと2人で歩くと生徒たちの視線が痛いくらいビシビシ刺さる。



特に女子から。



「か、肩身が狭い…」



「…?月森…?」



「あ、ごめんね。大丈夫」



なんとか校門を抜けると、ちょっとだけ息が吸える感覚がした。



「そういえば、知賀くんが行きたいところって?」



さっきから何となく気になっていたことを聞いてみたら、知賀くんの頬がピクっと引きつった。



あれ…?何かまずいこと聞いちゃったかな…?



「近くにできた大型ショッピングモール…なんだけど」



不安になったけど、知賀くんの返答は至って普通のもので。



「へぇ…!楽しそう!」



「あぁ、いろんな店回りたいんだ」



「うんうん!いっぱい寄ろ!」
< 48 / 61 >

この作品をシェア

pagetop