優しく、ぎゅっと抱きしめて
さすがにこれを言ったら振られるどころか、嫌われてしまうと考えた私は、その言い訳を飲み込んだ。
「いや、まぁ…悪かった。仮にもくれた相手に」
知賀くんは頭を下げた私を見て、申し訳なさそうに頭をかく。
も、もう怒ってない……かな?
「ありがとう。美味かった」
「っ…!」
満面の笑み…とまではいかなくても、クールな知賀くんらしい微笑み。
朝の光に照らされたキラキラエフェクト付き。
それが私の心臓にドスッと刺さった。
「っ…そ、それは何より…」
もともと知賀くんとはクラスメイトの上、出席番号の都合でよく話すことも多い。
あまり他人とはつるまず、基本1人でいる知賀くん。
最初は怖いイメージだったけど、話せば話すほど意外にそんなことはないと知って。