優しく、ぎゅっと抱きしめて

「…手、繋ぐか?」



ボソッとこぼされた知賀くんの小さな呟き。



「へっ…!?」



それに過剰に反応してしまった。



「あ、いや…ほら、はぐれたら困るから…嫌か?」



知賀くんの顔は真っ赤っか。



きっと私も茹でたこ状態。



「っ…つ、繋ぐ…」



私の返事を聞いて、知賀くんの手が近づいてきた。



指先が触れたと思ったら、大きく骨ばった手が私の手を包み込んだ。



「っ…」



な、なにこれ…抱きしめられるよりも緊張する…。



触れた手と手から伝わる熱が、全身を駆け巡るみたいにどんどん体を火照らせて。



なんかもう、ショッピングどころじゃない。



でも、立ち止まっていたって仕方がないからどちらともなく歩き出す。



「…月森が見たいところ行こう」



「えっ…わ、私の行きたいとこでいいの?」

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