優しく、ぎゅっと抱きしめて

しばらく沈黙が続いたけど、それを裂いたのは知賀くん。



「あぁ。月森が一緒ならどこでも楽しいから」



「っ…」



なんで知賀くんは、こうも乙女心をくすぐるようなことを言うんだ。



そんなの、私だって一緒なのに。



「じゃあ…あそこがいいな」



少し歩いたところに、アクセサリーを売っているお店を見つけて指さした。



「ん、わかった」



2人で入ると、意外にも男性客が多めでびっくり。



こういうところって、女の人が多いイメージだから。



「男の人も多いいね…?なんでだろ?」



「………」



あれ…知賀くん…?



急に黙りこくってしまった知賀くんをチラリと見てみると、店内をとても真剣に見ていた。



す、すごい…勉強してるときと同じくらい集中してる…。
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