優しく、ぎゅっと抱きしめて

透け感のある小さな桜がついてるゴールドイヤリング。



何に合わせても似合いそうなくすみピンクが、ちょっと大人っぽくて。



「似合わないかもだけど…憧れるなぁ」



お店の照明がイヤリングに反射して、より一層素敵に見える。



「…すごい綺麗だ」



知賀くんも私の意見に共感してくれたのか、感慨深そうにイヤリングを見つめて手に取った。



「ふふっ、可愛いよね…って、うわ…」



私も見とれて微笑んだ後、すぐ真顔に戻った。



知賀くんが持っているイヤリングの裏に書かれた値札を見て絶句する。



…ね、値段が可愛くない……。



お小遣いでやりくりしている高校生の私にとって、簡単に手が出せるほど安くはなかった。



…うん、諦めよう。私にはまだ早かった。



1人でガクンと肩を落としていると、繋がれた手からするりと抜けていく感覚。
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