優しく、ぎゅっと抱きしめて
え、知賀くん……?
なぜが知賀くんはイヤリングを持ったまま、レジへと向かって行った。
唖然とする私は立ち尽くすしかない。
しばらくすると、知賀くんが先程と変わらない様子で戻ってきた。
「ち、知賀く──」
「月森、公園に行かないか?」
「へ…?」
こ、公園…?
急な提案に頭が追いつかない。
「い、いいけど…」
やっとのことで頷くと、安心したようにまた私の手を握った。
っ…あぁもう、そういうとこだよ…。
知賀くんのさりげない行動一つ一つが、私の胸を鳴らしてしまう。
知賀くんが少し変なのは、きっと試験で疲れているからだろう。
そう決めつけて、知賀くんの後に続いた。
「わぁっ…!すごい…!梅ってこんなに綺麗なんだなぁ…」