優しく、ぎゅっと抱きしめて
「…そうだ。今日、本当は月森と2人で出かけたくて良さそうな場所を調べたら、こことショッピングモールが出てきた。…でも、もし断られたらと思うとなかなか言い出せなかったというか…」
「っ…!!」
知賀くんの言葉の数々は、あまりにも素直すぎている。
私のことを想って…考えてくれていた上に、誘うことを躊躇ってたとか…。
そんなことを聞いて嬉しくないわけが無い。
むしろ、知賀くんでもそういう風になると初めて知った。
こんなに自信のなさそうな知賀くんを知っているのは、きっと私しかいない。
そう思うだけで、飛び跳ねたいくらい嬉しくて舞い上がってしまう。
「今日、何の日かわかってるか?」
「な、何の日……?今日は3月の──あ!」
はたと気がついた。