優しく、ぎゅっと抱きしめて

「…そうだ。今日、本当は月森と2人で出かけたくて良さそうな場所を調べたら、こことショッピングモールが出てきた。…でも、もし断られたらと思うとなかなか言い出せなかったというか…」



「っ…!!」



知賀くんの言葉の数々は、あまりにも素直すぎている。



私のことを想って…考えてくれていた上に、誘うことを躊躇ってたとか…。



そんなことを聞いて嬉しくないわけが無い。



むしろ、知賀くんでもそういう風になると初めて知った。



こんなに自信のなさそうな知賀くんを知っているのは、きっと私しかいない。



そう思うだけで、飛び跳ねたいくらい嬉しくて舞い上がってしまう。



「今日、何の日かわかってるか?」



「な、何の日……?今日は3月の──あ!」



はたと気がついた。

< 56 / 61 >

この作品をシェア

pagetop