優しく、ぎゅっと抱きしめて
「っ…!?」
耳に触れられた知賀くんの手と、しゃらりと揺れる桜。
いつの間にか、知賀くんによってイヤリングが付けられていた。
「月森、言いたいことがある。ここで言っても大丈夫か」
すぐ目の前にある知賀くんの綺麗な顔。
見つめるだけで、鼓動が早くなるのを感じる。
知賀くんの言葉に、こくりと頷いた。
まっすぐ、愛しいものを見るような目で見つめられながら。
「好きだ」
投げかけられた愛の言葉が、何度も頭の中を駆け巡る。
「こんな俺のそばで楽しそうに話す月森が…明るく笑う月森が、大好きなんだ」
「っ…う、そ…」
「嘘じゃない」
自分の耳が信じられなくて。
でも、信じたくて。
「バレンタインデーに月森がくれたとすぐにわかったのは、なんでだと思う?」