優しく、ぎゅっと抱きしめて
な、何言われるんだろう……。
私は知賀くんと目を合わせることさえ難しいのに、知賀くんはまっすぐ見てくるから。
私、ここで振られちゃう……?
そんな覚悟をしたのに。
「感想言いたかっただけだ」
「へ…………?」
かん…そう……感想…??
知賀くんが何を言っているのかわからず、首を傾げる。
「だから…月森にチョコの感想言おうと思ったんだよ。でも、あんまり言うと周りがうるさいから…」
「あ…そ、そういうこと…」
モテモテの知賀くんは、きっと大勢の女子からチョコレートをもらったのだろう。
その子たち一人一人に感想を言うのはまず不可能。
なのに、私だけ優遇…みたいなことをすると変な誤解されて、知賀くんが面倒くさくなると。