優しく、ぎゅっと抱きしめて
そう言いたいんだよね?
いや……うん、わかってたよ。でもさ…。
チョコを渡す=告白
そんな方程式が私の頭にはあった。
でも、知賀くんはそうじゃないらしい。
きっと本命じゃなくて、義理だと思ってる。
これじゃ、告白すらしていないのにもう振られてしまったも同然。
っ…泣くな、私。
ここで泣いたら、知賀くんびっくりしちゃうでしょ。
溢れそうな涙を必死に堪えていたとき。
「お返し…何がいいとかあったら言えよ。俺、お前にしか返すつもりないから」
「っえ……?」
耳を疑うようなことを言った知賀くんに、涙が引っ込む。
な…なに、それ……。
そんなこと言われたら私……。
「知賀く──」