優しく、ぎゅっと抱きしめて


「知賀おっはよ〜!!って、アレ?月森さんじゃん?なになに、2人っきりで何してたんだよ〜」



聞き返そうとしたら、知賀くんとよくいる数少ないうちの1人である辻夏目(つじなつめ)くんが元気よく教室に入ってきた。



「朝からうるさい」



「通常運転だけど?」



「……はぁ、これだから嫌なんだ」



「ちょっ、人の顔見てため息つくなよ!」



2人の会話は目にも見えるほどの温度差があって、こちらとしては面白かったりする。



ふふっ…なんだかんだ言って、知賀くんも辻くんのこと好きなんだよね。



辛口な知賀くんだけど、辻くんにお願いされたことは結構聞いてる気がする。



「…そういえば、月森さっきなにか言おうとしてなかったか?」



思い出したように話を振ってきた知賀くんに、私は手をブンブン降って否定した。

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