先輩のアプローチがすごい。
ムカシノコト
プロローグ
「桜木さん」
「……なんですか、皐先輩」
私、桜木 愛莉はここ最近、毎日のように皐 美琴先輩にストーカーされています。
「あ、今俺のことストーカーとか思ったでしょ?」
「………思ってないです」
彼と出会ったのは、今年の6月。
高校2年生の私は、3年生の紅月クラスが行う講演会に参加した。
紅月クラスと言うのは、毎月一定以上のお金を学園に寄付している生徒が選ばれる特別クラス。
その講演会には、普通科の生徒は参加できない。
だけど、私は2学年首席だったから紅月館内5つの会場のうち2番目に広い曙の間で開催される講演会に参加するための招待状をもらえたのだ。
断るわけにもいかなかったから参加した。