先輩のアプローチがすごい。




「愛ちゃん、起きて。目覚ましずっと鳴りっぱだったから見にきたんだけど」



起きない。


部屋と部屋とを隔てる壁は全然薄くないのに愛ちゃんがかけている目覚ましの音は毎日聞こえている。

それくらい寝起き悪めなんだろう。昔から相変わらず可愛い。


なんなら今の方がもっと可愛い。


ちょっとだけあいている口も可愛いし、実はかわいいものが大好きな愛ちゃんはパジャマがイチゴ柄のピンク色のものだったりする。


自分が可愛い物好きだと気づいていないところもまた可愛い。



「愛ちゃん、そろそろ起きないと俺ほんとに愛ちゃんのこと食べちゃうけど」



こんな可愛い愛ちゃんと一緒に暮らしてて理性を保ち続けるなんて俺はほんとに最強だと思う。

たまにやらかしたりはしていたけど…。



そんなことをごちゃごちゃ考えていたら、いきなりバッと体を起こした愛ちゃん。


勝手に部屋に入った俺のことを怒るかなと思っていたらこっちをいきなり向いて力強く抱きしめてきた。




「あ、愛ちゃん?」
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