先輩のアプローチがすごい。

 

時刻は11時30分、家を出る時間。


朝ごはん兼お昼ご飯を食べ、寝癖だけ治して髪も結ばず着替えやすい服代表のワンピースを着た私は憂鬱な気分で玄関に向かう。



「あれ、もしかして愛ちゃんも…?」



そう言ったのは同じタイミングで玄関に来た先輩。



「てことは先輩もってことですよね。ですよね……」

「浮かない顔だね」

「いやなんだもん……」



拒否権がないミスコン。地獄である。



「そんな可愛い言い方しても絶対参加だからね。愛ちゃん何位だろうなぁ」


何故か嬉しそうに楽しみな様子でニコニコしている先輩。

いつものニヤニヤとは違ってニコニコ、あたたかい笑顔。なんか変です。



「何位でも変わんないです……前に出ることは変わらないじゃないですか」
< 104 / 114 >

この作品をシェア

pagetop