先輩のアプローチがすごい。
その後、2人が必死に説明をしてくれたけど私は全く思い出せなかった。
「先輩、すみません。結構待ちましたよね」
2人といた場所から離れて、1時間30分ごしに先輩に会った。
「……………あ、ごめん。綺麗すぎて見惚れてた」
本当に一瞬だけどこか違う世界に行ってしまったような表情をしていた。
「なんですか?そのお世辞」
もちろん、その言葉を真摯に受け入れる事はない。
「お世辞じゃないんだけど…まあいっか。愛莉は昔から可愛かったからね」
また昔の話……。
ここまでくると、どうして私だけ何も覚えていないのか疑問に思えてくる。
「も、もういいですから……。早く行きますよ」
最後までお世辞に照れないのは少しだけ難しくて。
ちょっとだけ、少しだけ先輩の顔が見られなかった。