先輩のアプローチがすごい。
私の家から歩くこと15分。
ここら辺では1番大きい夏祭りだからか、会場は人で溢れかえっていた。
お祭りに来たくなかったのは先輩と来るのがちょっとだけ気まずいと思っていたのもある。
けれど、それよりも大きな問題があって。
私は、人混みが大嫌いだ。
昔のトラウマ…だとは思うんだけど、それが何かは思い出せない。
でも、いつも少し酔うくらいだし、大丈夫…なはず。
それに、夏祭りなんて10年以上行ってない。
たまにいくのも悪く無い……かもしれない。
「着いたー!って、愛莉すごく顔色悪いけど大丈夫?」
「だ、大丈夫なので……。先輩に気にしてもらう筋合いは………」
話している途中で、気分が悪くなってしまった私はその場にしゃがみ込んでしまった。
私の人混みが苦手という事情は誰にも話していないから、理由はみんなわからないはず。
だったのに。